アイス・バケツ・チャレンジ(Ice Bucket Challenge)


Facebookなどのソーシャルメディアで見かける「アイス・バケツ・チャレンジ(Ice Bucket Challenge)」の指名を受けたので、快く受け取り、動画をアップした。息子も並んで登場している...

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アイス・バケツ・チャレンジ(Ice Bucket Challenge)

Facebookなどのソーシャルメディアで見かける「アイス・バケツ・チャレンジ(Ice Bucket Challenge)」の指名を受けたので、快く受け取り、動画をアップした。息子も並んで登場している。

Microsoftの元会長であるビル・ゲイツが、FacebookのCEO マーク・ザッカーバーグの挑戦を受けた動画くらいから話題が大きくなってきたように思える。しかし、ここまでの大物にまで回ってくると、次は否定的な意見が出てき始め、賛否両論という雰囲気になってきた。こういう動きは、東北の支援などでもあったが、必ず出てくるものだ。

指名を受けて思ったのだが、氷水をかぶることは大したことはない。特に夏まっただ中の日本では、気持ちよくもある。(いまいちの天気ではあったが)

ところが、氷水をかぶるよりも難しかったのが、次の挑戦者を指名することだった。賛否両論なだけに、気軽に次を指名できない。この行為に反対意見の方だったら悪いかなとか、本来は強制ではないので氷水をかぶらずに寄付だけするというのも問題ないし、なんなら寄付さえもしなくたって構わないけど、第三者から非難されたら申し訳ないなとか、なんだか賛否両論の声が強まるほどに、余計なことを考えなくてはいけなくなってしまった感じだ。

バカバカしいから広まった

私がなぜ氷水をかぶろうと思ったか。

それは、ASLという難病のことをよく知り、どうにかしたいと思ったわけではない。自分にもできる善行だからでもない。寄付金を払えないからせめて氷水をかぶってこのチャリティーを広めたいと思ったわけでもない。

自分が氷水をかぶった理由は、「面白そうだから」というだけだ。

本国のアメリカでも、この運動に批判的な意見がある。氷水をかぶったからといって、それが本当に支援になるのかというものだ。

さらに、ALSの団体が昨年の同じ時期に比べて4倍の寄付を集めたとしても、私と一緒に、1秒でいいから想像してほしい。もし氷の袋を2つ買うのにお金を使った人々が、実際にALSへと寄付をしていたならどうなっていただろうか?きっとすごいことになっていただろう。

実際、ブームだからとか、面白そうだからというだけで参加している人もいるだろう。しかし、そういう気軽な参加が多いからこそ一気に広まったところもあり、それによって、結果として寄付金が集まっている。

動画撮影時には、ALS Associationへの寄付金が6,250万ドルに達したというプレスリリースがあったが、1日経つと7,020万ドルにまでなっていた。日本円で約73億円だ。昨年同時期の250万ドルの28倍となる。1つのキャンペーンとしては途方もない大成功だ。素直にすばらしいと思う。

氷水をかぶらなくても、寄付だけすれば良いじゃないか。前出の記事には氷の分を寄付に回せば良いとあるが、このばかばかしい氷をかぶる動画が出回ったからこそ寄付額が増えたのだ。何も考えずに参加することができるがゆえ、多くの方が参加してバズとなっている。このキャンペーンがなかったら、人々は氷の袋を買うお金を寄付するだろうか?氷の袋分のお金を寄付してもらうという行為がどれほど難しいか。それを、このキャンペーンでは実現できているのだ。

バカバカしい。何がいけないのだろうか。バカバカしいから広まったのだ。

キャンペーンが広がったのは、夏場という時期も良かったのと、動画が誰にでも扱いやすくなったこと、そして、ソーシャルメディアがインフラとして定着していること、またインフルエンサーにうまくはまって、起爆剤になったことなどが理由としてあるだろう。

そのうえ、大きな理由に、根本的にバカバカしいからだ。バカバカしいからこそ、人は誰かに教えたくなるし、自分もやってみても良いと思える。これが小難しいキャンペーンなら見向きしてくれる人は一部の人だけだ。

キャンペーンの意味などは、全員が知る必要がない。見てて笑えるバカバカしい取り組みだったから、広まったわけで、きっかけは何であろうと、寄付する人が増えて、昨年比で数十倍の寄付額が集まったという結果は素晴らしいことで、非難すべきことではない。

本当に支援になっているのか? この寄付金が正しき使われるのであれば、バカバカしいキャンペーンは支援に繋がっているだろう。

家族で話すきっかけにもなった

寄付をするか、水をかぶるかというキャンペーンはこれが初めてではない。ソーシャルメディアで拡散する手法も初めてではないが、なぜ、ここまで今回は広まったのか。やはり動画の力は大きい。

今年はじめ頃から、今年は動画の年だ。YouTubeだと言っていたのが形になったとも言える。普通の人が、動画を見る環境と、自分で撮影して公開するのが簡単になったのだ。それをFacebookやTwitterといったソーシャルメディアが拡散を手伝い、バイラル効果を生み出していく。

氷水をかぶるのを失敗し、バケツが頭に当たったり、誤って転んだりという危険性も言われている。しかし、そんな安全なものだったらバイラルを起こすだろうか?テレビでもハプニング映像を集めたものが定期的に取り上げられるのは、人々がそのようなものに興味があるということだ。ハプニングも含めて、広まった理由になっている。

もちろん、危険なやり方が広まっても困るので、危険性を伝えるのは重要だが、それをもってキャンペーンを非難するのは違う気がする。危険なやり方を非難すべきだ。

今回、息子もやりたいと言い出し参加したため、事前にどうしたら危なくないかを教えたりしながらやっている。その上で、息子はちょっとした失敗をしているのだが、逆に良かったと思う。大きくなって同じようなキャンペーンに興味を持って失敗するより、小さな失敗をしておいた方が、大きな失敗を防ぐことができる。

実は、私が指名を受けて「アイス・バケツ・チャレンジ」を行うと言うと、子どもたちは「アイス・バケツ・チャレンジ」を知っていた。いつも見ているYouTuberがやっているのを見ていたようだ。

もちろん、小学1年の息子は、キャンペーンの意味は分かっていない。今回もなぜ私がやるのか理解していない。ただ、YouTubeで映像を見て、水をかぶってはしゃいでいる姿を笑っているだけだった。

今回チャレンジするにあたり、家族でこのキャンペーンについて話すことができた。なぜ、みんなはこんなことをしているのか。ALSという病気のこと。危ない場合もあるから、気をつけてやらなきゃいけないこと。けど、やるんであれば、楽しんでやろうということ。

じつは、最初は息子にバケツの氷水をかけてもらおうと思っていた。なので、頭にバケツをぶつけられたくないし、息子にバケツを持ったまま転ばれても困る。そうならないように説明し、どうやろうかと考えていたら自分もやると、自分から言い出した。指名されたわけじゃないし、全部じゃないけど何となく意味も理解し、危ないこともあることも理解した上で参加したいと言い出した。映像で、ちょっと必要以上に怖がって腰が引けているのは、そういうわけだ。

しかし、やると決断したことは良いなと感じるし、小さな失敗をしたことも良かった。これから、YouTubeで「アイス・バケツ・チャレンジ」を見かけても、いままでと見方が違うだろう。家族でALSという難病について話すきっかけになったこともよかった。いまは十分には理解してないとは思うけど、この先、この経験が記憶に残ると良い。

キャンペーンのやり方

キャンペーンの主旨には賛成だけど、やり方には反対という意見もある。特にチェーンメールのような仕組みやねずみ講式に広まる、何名かを指名するやり方に嫌悪感を抱くという人が多いようだ。

これは、バイラルを仕掛ける側の視点からいうと、指定する人が1人だと、途中で途切れてしまう可能性が高くなるので複数名を指定するようにしていると理解できる。

24時間以内としているのも一気に広げるのと、すぐに何らかの行動を起こさせるためのルールだ。Webサイトでも行動を促すコール・トゥ・アクション(CTA)のボタンを記事の最後に張ったりするが、すぐに行動するきっかけを与えることは重要な要素となる。

伝達の仕組みはチェーンメールと同じだが、誰かに回さないと不幸になるというものではない。強制しないともサイトに明記されている。チェーンメールに限らず、マーケティングの手法などは悪用することはできる。大事なのは、この仕組みではなく、受け取った自分が何も考えずに行動するのではなく、ちゃんと判断して行動すれば良いだけだ。

自分の体調や健康状態を考えて、氷水をかぶるべきじゃないと思えば止めれば良いし、ポリシーとしてやりたくなければやらなければ良い。政治家や芸能人など人気商売の方があえて実施しないことも理解できる。じつは難病と認定されている疾患は日本で130あるのだ。その1つに肩入れするように見えるのは良くないと考えてもおかしくはない。米国でも議員には特定の慈善活動支援を禁止する通達が出たようだ。一律に禁止するのは行き過ぎた感じはあるが、特定のキャンペーンに参加しにくいのは理解できる。

従って、キャンペーンは有効だからみんなが参加すべきだと言うつもりはない。それぞれの立場や状況によって判断すべきだ。やらないからといって非難すべきではないと思っているし、逆に参加した人やキャンペーンそのものを非難するのもおかしいと思う。

何名かを指定するという方式も特段非難されるべきじゃない。一種のゲームみたいなものだ。言うなれば、ソーシャルメディアで拡散する行為となんら変わらない。名指しで指定されて断れないということもあるのかもしれないが、有名人などがあえて実施しないというスタイルを見せ、そういうのもありだという環境が作れれば十分だ。

そのような行為を取り上げ、キャンペーンのバカバカしさを強調したり、自分は誰かに強要されたくないと自己防衛に走ったり、こういうブームは一時的なものですぐに収まってしまうと、分かりきったことを予告しても仕方がない。

ブームなのは分かってる。来年の寄付金は例年並みに戻った。じゃあ、すべて無駄か。そんなことはない。

NPO団体もソーシャルマーケティングの時代

ALSは、1年間に人口10万人当たり1〜2人程度が発症とされ、患者数としては少ないと言われている。そのため知名度が少ないとも言われ、エボラ出血熱と同様に患者数が少ないがゆえに研究費が多く割り当てられず、治療法の研究が十分に進んでいないとされている。

今回のキャンペーンでブームであっても集まった寄付金が、少しでも治療法の研究の役に立てば良いのではないか。

難病は130もあるから、ほかの難病患者はどうするのかという話もある。ALSだけに支援が集まって他の難病への支援額が減るという話も見かけた。本当だろうか?

ここに、音楽の違法ダウンロードの問題と近いものを感じる。

違法ダウンロードの数がこれだけだから、その分CDが売れなくなり、音楽業界としてはこれだけの損失だという数字がたまにでてくる。最近は見てないけど。YouTubeなども、そこで聴けたらCDを買わなくなるとか。

ここでおかしいのは、違法ダウンロードがなければ、その分みんながCDを買うことが前提になって試算されていることだ。はっきり言って、違法ダウンロードをする大多数が、ダウンロードできなくてもCDは買わない。「お金を出す」という行為と「無料で手に入れる」という行為には大きな隔たりがあるのだ。ペニーギャップとも言う。

実際に、買おうと思ったけど無料で手に入っちゃったから買わない、という人も居るだろう。それは損失かもしれない。逆に、普段なら聴かないけど、無料で手に入ったから聴いていたら気に入ってCDが欲しくなった。他の曲も聴きたくなった。だからCDを買っちゃったという人も居るかもしれない。このマイナスとプラスを考えたら、じつはプラスだった。ということが音楽業界ではあった。いまでは、YouTubeにレコード会社の公式チャンネルがあるのはそういうことだ。

難病支援も同じだ。もともと寄付ということをしない人が、ALSキャンペーンに参加しなくたって他の支援に回したりはしない。逆に、今回をきっかけに支援ということをした人が、他にも難病があるということを知り、そちらにも寄付をするということでプラスになる可能性もある。あるいは、ALSキャンペーンのブームが落ち着いた頃、他のキャンペーンに出くわしたら、今回よりもより低いハードルで参加するかもしれない。

そう考えると、難病を支援するNPO団体などもマーケティング力というものが必要なのかもしれない。特に動画やソーシャルメディアを理解したマーケティング力が重要と言えるか。

今回のALSキャンペーンが素晴らしい効果だったからと言って、他の難病患者を考えるべきだというのは、やはり違う気がし、もしもっと困っている団体があるなら、文句を言うよりその団体を支援したり広めるための行動を起こすべきであろうと思う。

キャンペーンを非難しても誰も得しない。

店舗などが出店する場合、周りに競合店のない地域に出すよりも、ある程度競合店のある地域に出店した方が来店者数は多くなり、もともとあった既存店も来店者数が増えるということもある。

同じように、今回ALSキャンペーンが目立ったからといって、他の難病患者支援が直接マイナスを被るとは断言することはできないし、逆に「難病支援」ということが人々の意識で大きくなることで、全体として今後の活動が大きくなる可能性はあると思っている。

もちろん、氷水をかぶる行為がエスカレートして、事故やけが人が出てきてはいけない。その部分の注意喚起は必要だし、断りにくいからと無理をして参加しなくてもいい雰囲気を作ることは重要であろうとは思う。また、個人的にキャンペーンに参加したくないという気持ちもあっても良いと思う。

ただ、キャンペーンを非難したり異を唱える行為が大きくなることは、せっかく人々の関心を集めている難病支援自体を失速させることになるのではないかと危惧する。「こんなキャンペーンは支援になっていない」という意見こそが、キャンペーンを失速させて、集まるはずだった寄付金を減らし、捻出できるはずだった研究費を減額させてしまうということを認識してほしい。もちろん、推測でしかないが、そのような可能性もあるということだ。

しかも、今後、違う難病支援のキャンペーンで、参加するのが格好悪い雰囲気を作ってしまっては、そのキャンペーンによって支援できる難病患者にもメリットはないし、誰も得をしない。

誰かに指名されて強制されるより、その行為を非難することで自分のほうがコントロールしているというパワーバランスを保ちたいがために、賢そうなコメントで皮肉を言うより、意味はよくわからないし、危ないこともあると脅されて恐いけど自分なりに参加してみる息子の方が、私は素敵だと思う。

そして、来年早々にスティーブ・ホーキングのことを描いた映画『Theory of Everything』が上映されるらしい。観たいかもしれない。彼の著書「ホーキング、宇宙を語る」は、専門外の私にも良く理解できる内容だった。学生の頃にALSが発症したというが、どのような人生だったのだろうか。

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